国土交通省のドローン情報基盤システム2.0(通称:DIPS2.0 https://www.ossportal.dips.mlit.go.jp/portal/top/)運用開始に伴う、飛行実施までの対応について本記事にてご説明いたします。
【概要】
DIPS2.0運用開始に伴い、これまでドローン機体登録システム、ドローン情報基盤システム(飛行許可・承認申請用 通称:DIPS1.0)、ドローン情報基盤システム(飛行情報共有 通称:FISS)として別々のアカウントで運用されていたシステムがひとつのアカウントで運用できるように統合されました。DIPS2.0ではドローン機体登録システムで使用しているアカウント("DRC123456"のようなアカウント)で全ての機能を使用できます。
これに伴い、DIPS1.0で取得した飛行の許可書の有効期限が切れている場合や新規に許可書を取得する場合は、DIPS2.0で新たに許可書の取得が必要となります。(※1) すでにDIPS1.0で許可書を取得しており、その許可書が有効期限内であれば特段の変更理由がない場合は、新たにDIPS2.0で許可書を取得する必要はありません。
また、飛行の通報(飛行情報の共有)に使用されていた旧FISSは運用が終了しましたので、今後はDIPS2.0の「飛行の通報」で、毎回の飛行実施時に飛行の通報をしていただく必要があります。(※2) 飛行の通報は、特定飛行(※3)を実施する際は必須で、特定飛行を行わない場合であっても通報することが推奨されています。飛行の通報を行う際は、事前に操縦者のライセンスカードのアップロードや飛行時間の入力等が必要です。作業自体はさほど時間が掛かるものではありませんが、必ず飛行実施より前に余裕をもって入力しておくことが望ましいです。
以上のことから、ドローン飛行実施を考えているのであれば、特定飛行実施の有無に関わらずDIPS2.0にログイン(必要に応じてアカウント取得)のうえ、「飛行の通報」がいつでも行えるようにご準備いただければ幸いです。
以下、DIPS2.0で飛行の許可・承認申請が必要な場合と飛行の通報の方法について詳細に説明いたします。なお、DIPS2.0については当協会においても実際に検証をしていますが、システム運用開始直後であり不具合のようなもの見受けられます。またメンテナンスが頻繁に行われているため、説明内容が実際と異なってくる場合もあることをあらかじめご了承ください。
※1 適切な飛行の許可・承認を得ずに特定飛行を行った場合、航空法第157条9に従い、50万円以下の罰金が科せられます。
※2 飛行の通報をせずに特定飛行を行った場合、航空法第157条の10に従い、30万円以下の罰金が科せられます。
※3 特定飛行とは
以前~現在を含めて、飛行禁止空域(例:空港周辺、人口集中地区の上空)や飛行の方法(目視外飛行、30m未満の飛行)実施の際には、実施する飛行の内容に応じて国土交通省に「飛行の許可・承認申請」をして「許可書」を持参して飛行する必要があります。これら「飛行の許可・承認申請」が必要な飛行は12月5日以降、「特定飛行」という名称で扱われます。会員のみなさまにおかれましても、多くの方が「許可・承認申請」をしてこれらの「特定飛行」を実施されていると思います。
【手続きフロー】
飛行実施に際しての特定飛行の有無および許可書有無等を考慮した作成した手続きフローを図1に記載します。日数は開庁日であり土日祝日は含まれません。すべて最短で手続きが済んだ場合のものです。実際には、書類不備による再申請や国交省の混雑状況等により、最短日数よりも手続きに時間が掛かる可能性は十分にあります。あらかじめ余裕をもった申請をすることが推奨されます。
図1 飛行実施に際しての手続きフロー
※4 第三者賠償保険 DIPS2.0で飛行の許可・承認申請をする際に、加入している第三者賠償保険の会社名、保証金額等の入力を求められます。また、飛行の通報を行う際も、同様の内容の入力を求められます。現状は、第三者賠償保険の加入は必須とは表記されていませんが、保険加入していない場合も飛行の通報で賠償能力を入力が必要であり、ほぼ必須といえる状況です。当協会としても第三者賠償保険の加入は特定飛行実施の有無に関わらず、無人航空機の飛行をするのであれば事故発生時の責任を考え、加入することを強く推奨いたします。
※5 施設・土地管理者等の許可 特定飛行実施の有無に関わらず、飛行予定場所の施設・土地管理者等に事前に無人航空機の飛行について確認を行い、適切な手続き等を済ませてください。国会議事堂、防衛関係施設、原子力発電所の周辺等の国の重要な施設周辺では「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」、私有地では民法の規定が適用されます。その他、河川敷、自然公園等の場所についても事前に必要な手続きについて十分にご確認をお願いします。
参考:小型無人機等飛行禁止法関係
【DIPS2.0のアカウント取得とログイン】
まだDIPS2.0を使用したことがない方はこちらからお読みください。すでに機体登録時にアカウントを作成しているかたはアカウントの取得は必要ありません。
ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)は、こちらよりアクセスしていただくか、検索サービスで「DIPS2.0」と検索してアクセスしてください。図2のようなトップページが表示されます。
図2 DIPS2.0トップページ
赤線で囲んだ「ログイン・アカウント作成」をクリックしてください。図3の画面が表示されますので、「まだアカウント作成がお済みでない方」から個人または企業アカウントを選んでクリックしてください。
図3 アカウント作成画面
個人あるいは法人の情報等の必要事項を入力して、アカウントを作成し、ログインしてください。
【飛行許可・承認申請】
DIPS2.0にログインすると、図4のような画面が表示されDIPS2.0のシステムで行える手続きの一覧が表示されています。
図4 DIPS2.0メニューページ
手続きフローでご説明したように、特定飛行の実施予定があり、現在有効期限内の許可書をお持ちでない場合は、まず飛行許可・承認申請をしてください。特定飛行の予定が全くない場合はこちらの手続きは必要ありません。
画面を下にスクロールすると「航空法に基づく無人航空機関係手続きの一覧」が表示されます。赤線で囲んだ「飛行許可・承認申請へ」をクリックして、手続きに進んでください。
図5 飛行許可・承認手続きの場所
図6 飛行許可・承認メインメニュー
なお、飛行許可・承認手続きをするには申請時に使用する機体の登録と操縦者情報の登録が済んでいる必要がありますのでご注意ください。機体の登録と操縦者情報の登録は
で囲んだリンクより入力してください。
新規申請から、実施予定の特定飛行について申請をお願いします。許可書の発行には最短で10日開庁日必要です。申請に不備があった場合は、申請書の修正後に再提出が必要となりますので、余裕をもった申請をお願いします。
【飛行計画の通報】
飛行の実施前には飛行計画の通報が必要です。飛行計画の通報は特定飛行を行う必須となりますので、必ず実施するようにしてください。また、特定飛行を行わない場合であっても、飛行計画の通報を行うことが推奨(※6) されています。当協会においても飛行計画の通報は無人航空機の安全運航において重要であると認識しており、会員のみなさまには飛行計画の通報を重ねてお願いいたします。
※6 令和4年11月3日制定 (国空無機第223045) 無人航空機の飛行計画の通報要領
図7 飛行計画の通報
「飛行計画の通報・確認へ」をクリックすると「飛行計画通報メインメニュー」が表示されます。
図8 飛行計画通報メインメニュー
「飛行計画を登録・参照する」の「飛行計画の通報」より、実施する飛行計画を通報することができます。飛行計画の通報をするには、使用する機体情報および操縦者情報の入力が必要となります。事前に赤線で囲んだ「飛行計画の登録に必要な情報を準備する」の「無人航空機情報の登録・変更」と「操縦者情報の登録・変更」が必要です。「飛行計画の登録」をクリックし「飛行計画一覧」ページで「新規通報」をクリックすると下記の新規作成画面となります。
図9 飛行計画通報の新規作成画面
飛行計画通報の入力の流れは従来のFISSと全体的には同じですが、飛行許可番号、飛行目的、保険に関する情報、立入管理措置、飛行速度といった多くの情報の入力を求められため、初回は作業にかなりの時間を要すると思います。そのため、操作に慣れないうちは極力飛行実施の前日までには手続きを済ませておくことを推奨します。
図10 飛行計画一覧
通報した飛行計画は「飛行計画一覧」で確認することができます。各飛行計画の右端に4つのアイコンがあります。コピーのアイコンをクリックすることで、飛行計画の複写ができるので、2回目からの時間短縮をすることができます。
以上がDIPS2.0による飛行実施までの諸手続きの概要になります。ご不明点、ご質問等ありましたら、当協会まで遠慮なくお問い合わせください。また、今回ご説明した内容は、DIPS2.0等のシステム更新や航空法の改正により古くなる場合がありますことをあらかじめご了承ください。
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